女装男子VS男装女子。
数分後、蓮の呼んだ車はすぐに来て、
あたしたちはそれに躊躇なく乗り込んだ。
「へぇ。神宮って、本当にお金持ちだったんだ」
「あたしも最初ビックリしたよ。あ、家もスッゴくデカイんだよー」
あたしは車の窓から外の景色を眺め、堪能する。
「でも高級車ってさー、座り心地とか抜群だけど、なんか落ち着かないよね」
「そうか?」
「お前に聞いてねぇよこの坊っちゃんが」
あたしはあっくんに聞いてるの!
あんたに答え求めてどうすんのさ。
「んー……僕はなんでも取り敢えず乗れたらそれでいいかな」
うわぉ。
あっくんてば乗れたらそれでいいのか。
ていうことは、
乗れなかったら高級車でもダメなのね。
なんて大物。
「なんか……あっくんカッコいい……」
キラキラとした目であっくんを見る。
マジ、尊敬するわ!
「そ?ありがと」
おぉ……なんってキレイな笑顔なんだ。
鼻血が出そうになっちゃったよ。
思わず鼻を押さえる。
「いやー…イケメンの笑顔って破壊力半端ないね」
あっくんの笑顔を見て思ったよ。
「じゃあオレの笑顔だな」
「は?バッカじゃないの?あっくんのこと言ってんのよ」
「なんかオレの扱いが酷くね……?」
「気のせいじゃない?」
ね?とあっくんに同意を求める。
あっくんは口元を押さえて、クスクスと笑っていた。
「そうだね。神宮の気のせいだよ。たぶん」
「そうか……って、たぶん!?」
「うん」
あぁぁーっと蓮がよくわからない悲鳴じみたものをあげる。
だって……ねぇ?
蓮の笑顔が一番破壊力半端ないよって言ったら、絶対調子に乗るでしょ?
とか、もっともなこと言っておいてなんだけど、ただあたしが言うの恥ずかしいからってだけなんだけどね。
そんなこと言ったら、
恥ずかしくて蓮の顔見れないし。
真っ赤になった顔なんて、見られたくないし。
絶対、蓮には言ってやんない。
蓮の笑顔が好きだよ、なんて。