女装男子VS男装女子。
朝だからか、少し早めのペースで車に向かった。
「なに食べる?」
「サンドイッチ」
蓮に聞かれたので答えると、サンドイッチを手渡された。
それを無言で受け取り、もひもひと食べる。
サンドイッチを2つほど食べ終わったころに、学校に到着した。
あたしたちはそれぞれ車から出ると、あたしへの視線が集中した。
「うぇ……みんな見てる」
キモーイ、と呟くあたしを見て、あっくんたちは笑っていた。
あたしが歩く姿をいろんな人が面白そうに見てくる。
あぁイライラしてきた。
あたしは見世物じゃないっつーの!
「まあまあ、少し落ち着いて。昨日みたいに追いかけられるより、ただ見られてる方がマシでしょ」
あっくんがイライラするあたしをなだめるように、頭をポンポン、と撫でてくる。
「……そうだけど」
嫌なもんは嫌。
「ちょっとだけ我慢しよ?」
「はあ……」
コクン、と頷くとあっくんはいい子いい子とまた頭を撫でた。
……子供扱いだ。
あたしは教室に着くまで好機の目にさらされた。
教室に入っても好機の目にはさらされたけど。
自分の席にドカッと座る。
それをクラスの奴等が驚いたように見ていた。
「え、あれって、天野くんの席だよね?」
そんな声が聞こえる。
そうですよ。
ここはあたしの席ですよー。
心の中で答えながら、あたしは机に伏せた。