女装男子VS男装女子。

朝だからか、少し早めのペースで車に向かった。



「なに食べる?」

「サンドイッチ」

蓮に聞かれたので答えると、サンドイッチを手渡された。

それを無言で受け取り、もひもひと食べる。

サンドイッチを2つほど食べ終わったころに、学校に到着した。


あたしたちはそれぞれ車から出ると、あたしへの視線が集中した。


「うぇ……みんな見てる」

キモーイ、と呟くあたしを見て、あっくんたちは笑っていた。

あたしが歩く姿をいろんな人が面白そうに見てくる。


あぁイライラしてきた。


あたしは見世物じゃないっつーの!


「まあまあ、少し落ち着いて。昨日みたいに追いかけられるより、ただ見られてる方がマシでしょ」

あっくんがイライラするあたしをなだめるように、頭をポンポン、と撫でてくる。

「……そうだけど」

嫌なもんは嫌。

「ちょっとだけ我慢しよ?」

「はあ……」

コクン、と頷くとあっくんはいい子いい子とまた頭を撫でた。

……子供扱いだ。


あたしは教室に着くまで好機の目にさらされた。

教室に入っても好機の目にはさらされたけど。


自分の席にドカッと座る。


それをクラスの奴等が驚いたように見ていた。


「え、あれって、天野くんの席だよね?」


そんな声が聞こえる。

そうですよ。
ここはあたしの席ですよー。

心の中で答えながら、あたしは机に伏せた。



< 212 / 232 >

この作品をシェア

pagetop