女装男子VS男装女子。

オレは席から立ち上がって、入り口に向かう。

そこでオレを待っていたのは、天野の幼なじみの五十嵐だった。


「五十嵐が来るなんて珍しいな。どうした?」

「ちょっと来て」


五十嵐にしては珍しく強引にオレを引っ張って、空き教室に引きずりこんだ。


「うぉっ!なんだよ五十嵐!」


「うるさいな、そんなに大声で呼ばなくても聞こえてるよ」

ものすごく鬱陶しそうな顔をした五十嵐が、オレを見てため息をついた。


……コイツ…本当天野と一緒に居るときと全っ然違うな。

この猫被りめ。

「あーぁ、なんで僕がこんなことしなくちゃいけないんだか」

意味がわからない。
五十嵐はなにがしたいんだろうか。

オレをこんなとこまで連れてきて。

「……?」

「あぁウザイ。僕神宮嫌いなのに……はぁ。でも、桃のためだからなぁ……」

うっわ。コイツ今おもいっきしオレのこと嫌いって言ったよ。
しかもウザイもおまけについてるし。

てか、今桃のためって言ったか?


「……桃のため?」

「そうだけど。ちょっと黙っててくれる?鬱陶しいから。イライラしちゃう」


睨まれた。


本当なにしにここまで連れてきたんだコイツは!!

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