女装男子VS男装女子。
「最近さ、桃元気ないんだよね。誰かさんのせいで」

「ふぅん……」


そうなのか……てか、五十嵐の言い方に棘があるように感じるのはオレの気のせいか?


「で、それが桃の好きな奴のせいなんだけど」

「……へぇ」

「ウザイよねーイライラするよねームカつくよね。一回死んでこいよって感じ。てか、桃泣かせてんじゃねぇよ」

ギロリと五十嵐が睨んでくる。

……なんでオレ睨まれてんの?
しかも五十嵐の口調がいきなり変わったし。


「ソイツ、桃が好きだって気づいてないんだよね。ずっと一緒にいるのに。ほんっとムカつく」

……ずっと一緒にいんのに、天野の気持ちに気づいてねぇのか。
ソイツ、すっげぇ鈍感だな。
五十嵐毒吐きまくってるし。よっぽどソイツのこと嫌いなんだなー…。


「このままだったら、僕、桃のこと貰っちゃうから」


オレを見て、挑発的に笑った。


だから……なんでオレに言うんだよ……


「まだわかんないの?バカだね神宮って本当に。僕もそこまで優しくないから、もうこれ以上教えてあげないけど」


ニヤリと笑うと、


「じゃあね?神宮。気づいたら桃はもう僕の彼女かもね。そしたら二度と桃に近づかないでよ。神宮に触らせたくないし」


そう言って、五十嵐はオレを残して空き教室から出て行った。



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