女装男子VS男装女子。
天野に近づけねぇとか……あり得ねえわ。

今でも天野切れなのに、これ以上天野が切れたら死ねる。


それくらい、オレは天野が好きなんだ。


五十嵐にも他の奴にも……取られてなんて、たまるかよ。


天野は絶対譲らねー


オレは誰もいない教室で不敵に笑った。








【桃side】


あっくんどこに行っちゃったんだろう……


さっき教室から出ていったきり、戻ってこない。

心配に思っていると、
あっくんが教室に戻ってきた。

そのままで席に座り、あたしに来い来いと手を動かしている。


「どうしたの?」


あっくんのところに行くと、あっくんは頬っぺにチュ、とキスをした。


「なっ、ななななな……!」


あたしはあっくんにキスされた頬っぺに手を当てる。

恥ずかしくて、だんだん紅くなってきているのが、自分でもよくわかった。

幸い、今のやり取りを見ていた人はいないようだけど。


あっくんは教室の入り口の方を見て、フッと笑っていた。

「あっくん……?」

「ん、あぁゴメンね。……これで最後だからさ。これで桃のことを想うのは最後にするから。だから、これくらいは許して?」

切なそうにあっくんが笑う。

そんなこと言われたら……うんって言うしかないじゃない………。

「ん……わかった」

「ありがとう」

ううん、いいんだよ。

だってあたしはあっくんのこと、大好きだから。

……一番は蓮だけどね。

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