女装男子VS男装女子。




放課後、あたしは蓮に呼び出された。




よくわからないけど、あたしに用事があるらしい。


どんな用事なのかな。


蓮に会えると思って、放課後になるのが待ち遠しかった。



「……蓮ー?」


蓮のクラスまで行って、蓮を探した。

早く蓮と話たくてクラスまで来ちゃった……
迷惑かな?

そう思いながらも蓮を目で探す。


……見つけた。

フフッ……寝てるし。可愛いー
でも、起こさないとダメだよね。
起こすことに若干躊躇いながら、蓮を呼ぶ。


「れ、」

「蓮くーん!」

え……

あたしの声はある女の子によってかきけされた。
今、あの子蓮くんってーー

「……ん…、あぁ……サクラか……」

「もう、放課後だよ?大事な用事があるんでしょ?」

「あぁ……サンキュー」

蓮とサクラという子が仲睦まじく話をしているのが聞こえる。


…………名前で、呼びあってるんだ。

あたしは、まだ名字のままなのにーーー


そう思うと涙が出てきて、ここに居たくない、あんなの見たくないと脳が信号を送る。

あたしは静かに教室から離れて、
走った。


その時、音を立ててしまって、蓮とばっちり目があった。

蓮は目を大きく見開いて、


「天野っ!?」


そんな蓮の呼び声さえも無視して、あたしは後ろを振り返らずに走る。

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