イジワルな彼は不器用王子。
「ふー…
遅刻はしないね!
冬真、ありがと!」
「ん、全然。」
冬真は上履きを履き
私の手を優しく握り、教室へと二人でむかった。
最近、カレカノっぽいことが
できるから、心の奥底では
嬉しいな。って思ってる私。
そんな幸せをかみしめている時に。
「那智ちゃん、おはよ!」
「…あ、本田くん。
お、おはよう。」
私が本田くんと言ったとき
冬真の肩がピクっと反応して
「チッ…
おまえ、那智って呼ぶな。
俺だけだ、那智って呼んでいいのは。
那智、行くぞ。」
と言い放った。
…冬真、カッコイイよー…
ズルイ…ズルイよ
私、何回も惚れなおさせられちゃうもん。
今だって、女の子達の目がハートになったよ。一気に
また人気アップしちゃうなー…
と
へこんでいたら、いつのまにか教室についていた。
だけど、鞄を置いて冬真に屋上に強制連行された。