君が嘘をついた理由。
「実は、仕事で一日だけ帰ってこれないんです。…一人で大丈夫ですか?」
宿泊学習があるという日の3日前。
申し訳なさそうに夕食の時に報告してくれた陽太。
すっごく申し訳なさそうに、何度も何度も謝ってくれた。
大丈夫だよって言っても、
心配は尽きないみたいで。
ごめんね、と大丈夫?って単語を何回聞いたことか。
…まさか、その”仕事”に私も一緒に行っているとは全く思ってないんだろうなぁ。
思う訳ないよなぁ。
猫だと思ってるんだから…。
「――ちょっ、待て待て」
ガヤガヤとバス内での談笑の中、ふと静かだった隣から
そんな声が聞こえてきたかと思うと、
ジャっ、と勢いよくカーテンが開けられた。