君が嘘をついた理由。
「はい!」
「っ、掬ってくれるだけでいいんですけど・・・」
「こっちの方が早いから、ね?」
はい、とスプーンを
陽太の口に持って行く。
恥ずかしさがあるのかな。
口元へきたスプーンと
私を交互に見つめる陽太。
一瞬戸惑ったもの、もう一度、ん、と口へスプーンを近づけると。
ゆっくりと口を開いた。
その姿が可愛い、と言ったらかわいそうなので黙っておこう。
私には、困ったことがあれば頼って何でも言ってと言うくせに。
陽太は、あまり頼らない。右手が使えなくて不便な今こそ私に頼ればいいのに。