君が嘘をついた理由。


髪に指を通していく。

「はいっ、できた」

「ありがと」


「サラサラだね」

ドライヤーを止めて、両手で触っていれば、


陽太も左手で自分の髪を確かめるように触る。


「そう?」


自覚がないらしい。

「うん。うらやましい」


さらさら。ひっかかることもなく毛先まで通っていくそれ。




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