君が嘘をついた理由。

「何か、嫌なことでもあったの?」

真面目な声のトーンで訪ねられて、首を埋めたまま、横に振る。


こんな時まで私の心配?思うように手が使えなくて、いらいらしているだろうに。当たってくれてもいいのに。



どこまで優しいの。




「るな、大丈夫だよ。そんなに心配しないで」

「迷惑?」

「ううん、全然。嬉しい。るなはあったかいね」


ぽんぽん、と心地よいリズムで

撫でられる頭。


暖かいのは、あなたの方だ。



居心地がいい。




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