君が嘘をついた理由。
もう、名前を呼ばれることもない。
私が陽太に話しかけることもない。学年集会や学校の行事がなければ姿をみることだってない。
・・・たまに、こうして離れた場所から廊下を歩く陽太を見ることはあるけど。
それもあの部屋でいっしょに暮らしていた時間に比べればほんの一瞬で。
日に日に一緒に暮らしていたこと自体が幻覚だったんじゃないか。
夢だったんじゃないかと思ってしまう。
「本当のことを言って謝って告白するのもありだと思うよ」
「何それ。ない!絶対ない!」
「それは本当のことを言うことに対して?告白することに対して?どっち」
さらっと私が想像もしていないことを言ってしまう理香はすごいと思う。