君が嘘をついた理由。
「・・・こんにち、は」
目の前に飛び込んできた先生に、
そのまま私が座っていた席に行こうとしていた足は止まった。
先に声を出したのは、あっちだ。
手には授業で使ったであろう教科書と・・・
数学にはあまり必要のない電子辞書。
「それ、」
ぶら下がっているキーホルダーは、人目で私の物だと分かるようにつけたもので。
私の視線に気付いたらしい先生は
持っていた辞書を一別し、軽く持ち上げる。