君が嘘をついた理由。

佐田先生は教えてくれなかった。自分で考えろと言うように。でも、話の流れで大体言いたいことはわかって。聞いてみる。

先生は黙ってうなずくだけ。

「立場で離ればなれにならなきゃいけないなんてむかつかね?うじうじせずに言いたいことくらい伝えろよ。そのために耳と口がついてんだろ。言葉があるんだろ」



佐田先生の一言は、説得力がある。そっか。そうだったんだ。一番恐れていた陽太にばれてしまうことは。


陽太にばれる、なんて以前にとっくに陽太は知っていて。すべて知っていたうえでああして私を住ませてくれていたと。

「・・・今陽太ちょうど病院行ってるよ」


腕時計に目をやった佐田先生は、また私へと視線を戻す。

「今?」






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