君が嘘をついた理由。

「大丈夫? 落ち着いて」


肩で息をする私を心配して背中をさすってくれる。どこまでも、優しいよね。



「どうしたの、るな」


どうしたの、じゃないよ。

「ごめっ…ごめんなさい」


一瞬、陽太と目を合わせて、そのまま思いっきり頭を下げる。


本当に、ごめんなさい。

「勝手に出て行ってごめんなさい…さんざんお世話になったのに、私…」


ひどいことした。頭をさげたまま、自分の足元を見ながら、言葉を出す。






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