君が嘘をついた理由。
これって、これって―――。
バスの中では一言も会話をしなかった。
陽太はずっと、外に視線を向けたまま。
たまに腕時計を確認していて。
私はそんな陽太に話しかけることができずに、
ただ、さっきのことを思い出しては気持ちが落ちて言った。
言ったことを後悔してるわけじゃない。
溢れた気持ちを
そのまま言ったんだから。
ちゃんと、目をみて言った。
陽太も
私をまっすぐに見てくれてた。
声だって、ちゃんと届いて聞こえていたはず。
…それなのに。
無かったことにされた。それだけ。
それが、一番大きいのだ。
優しい陽太だから、何かしら言ってくれると思ってた。