君が嘘をついた理由。

それも

車が遠くなっていく音と共に


消えて、また真っ暗に。




誰かと同じ部屋で寝るのなんて久しぶりだ。


自分以外の呼吸音が聞こえるのも、

気配を感じるのも。


誰かと一緒にいる、というだけで、なんか違う。


それが、今日初めて話したばっかりの人なのに、変なの。


瞳を閉じれば、すぐに意識は薄れていった。






―――次に目が覚めた時には、もう早川さんは起きていた。

 「おはようございます。僕は仕事に行ってきます。18時までには戻れると思いますが…」


半そでのワイシャツにネクタイもきっちりと結ばれていて、スーツ姿。


ぼんやりとまだハッキリしない思考の中、

時計を見れば7時45分だった。……起きて準備をしていたはずなのに。




私を起こさないように、音を立てないように動いてくれていたのか。


物音で目が覚めないくらい熟睡していたみたいだ。


「はい、これ」



朝は苦手。体がまだ動いてくれそうになく、ぼーっとしていれば。




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