君が嘘をついた理由。

私のいるベットまで歩いてきた早川さんは、


握ったままの手を私の前に差し出す。何?

見上げて首を傾げれば、微笑まれて。


分からないまま手のひらを早川さんの手の下へと差し出す。


開いた手のひらから、チャリン。


音がしながらそれは落ちてきた。


…鍵…。銀のそれは黄色い小さい鈴つきだ。


「猫の生活がどんなものか知りませんが、自由に出入りしてください。ただ、戸締り…窓とドア。必ず鍵をかけてから出てくださいね」

ゆっくりと、


でも言い聞かせるように言われて、いいですか?と聞かれる。


素直に頷けば頭に重み。

「ミルクとパン、置いてるんでよかったら食べてください。ミルクは冷蔵庫の中にもあるんで飲みたくなったら飲んでください」




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