君が嘘をついた理由。
それはもう襲われるかもしれないという恐怖だとかびっくりしてだとか、そんな表情ではなく。
……明らかに怪訝な顔で。・・・猫?・・・え?
今聞かれた言葉を必死で理解しようとするけれど、訳が分からない。固まったままの私を男は気にすることもなく、まくしたてるように詰め寄ってくる。
「ちょっと手当の道具持ってくるから待っててって言ったのに!せっかく手当しようとしてたのに!どうして逃げようとするかなぁ。さ、入ってください」
そう言って掴んでいる腕を引っ張る。
「ちょ、待って」
「手当してあげるって言ってるんです。あ、ついでにミルクも飲ませてあげますから」
――ミルクって!
「は、ちょっ」
訳が分からない。まさか、こういう手法で家に連れ込んで監禁とかするつもりなのだろうか。