君が嘘をついた理由。
「―――また明日、くるね」
ただただ規則的に呼吸を繰り返すお母さんの顔を眺めていた。
気がつけば、カーテンにかかる光がオレンジ色を帯びていて。
そこで初めて、時間がかなり経っていることに気づく。
時間を全く気にしない生活は、時間が早く過ぎてしまう。何時間ぼーっとしていようと、なんの支障も来さないから、気を張る必要もないからかな。
蝉と鈴虫の鳴き声が混じった道を歩きながら、病院を後にした。