君が嘘をついた理由。
――――おいで。
最後にかけられた言葉は、ひどく優しくて。
無理矢理連れ込まれるのかと思えば、
簡単に腕を放して最後は私に任せるかのような言い方。
くるのもこないのも自由、だと言うような。こないなら、こなくてもいい、そんな言い方で。
気付けば、
引き寄せられるように男の後を追っていた。連れ込みとか、誘拐とか、監禁とか。すっかり頭からは抜けていて。
今思えば、きっと。
誰かに優しくされたかったのかもしれない。独りになるのが嫌で、誰かと一緒にいたかったのかもしれない。
分からないけれど、その人のもつ不思議な力にもう吸い寄せられていたのかもしれない。