君が嘘をついた理由。
カツンカツンと階段を上がっていく。
響く音が気になって、
できるだけ音がしないように上がれば、上がって手前から3つ目のドア。
ポケットから鍵を取り出して開錠しようとしていた男が私を見る。
その顔はびっくりしたような顔で。
「……来たんだ…」
ぼそり。小さく呟いた声はきちんと耳まで届いた。自分が、おいでって言ったくせに。
意味が分かんない。
心の中で呟きながら、近づけば、
ドアを開いて、どうぞ。と通された。
ふわっと香った部屋の匂いは入ってすぐの靴箱の上に置かれた芳香剤の石鹸の香り。パチンと音がして、気付けば後ろから手が伸びていて男が電気をつけていた。