極上の他人
「見合いでもコンパでも、誘われれば応じるわけ?亜実さんは会社の先輩だもんな、付き合いがあるから断るなんて難しいし、史郁みたいに若い女の子なら格好いい恋人だって欲しいもんな」
「恋人は……それは別に」
欲しいとは思っていない。
輝さんのことが好きなのに、いくら格好いい恋人でも、輝さんでなければ嬉しくもない。
すると、輝さんは、何かを決意したように、にやりと笑った。
そして、間近にあった輝さんの顔が更に私に近づいて。
「見合いやコンパだ?そんなこと、させるかよ」
輝さんの体に私の体は固定されたまま、まるでそれが自然な流れのように輝さんの唇が、私の唇に落とされた。
熱を持った私の体には冷たく感じるその唇だけど、
「待つなんて、もう終わりだ」
その唇から零れ落ちた言葉は温かかった。
そして、差し入れられた舌に気付いた途端に強張った私の体を更に押さえつけながら。
「悪いけど、もう、離してやんない」
輝さんは艶やかに笑った。