極上の他人
②
一日会社を休んだだけなのに、月曜日出社した私の机の上にはうんざりするほどの書類が積んであり、要件が走り書きされた付箋がいくつも貼りつけてあった。
新入社員の気持ちのままで仕事をこなしていた私には、目の前のそんな光景が意外過ぎて、複雑な気持ちになった。
実際に休んだのは金曜日一日だけだったのに、予想以上に多い書類の量を見ると、私もそれなりにこの部署に必要とされているのではないかと、嬉しさを感じるけれど。
病み上がりにこの量をこなすのはかなり大変だなと、新入社員には図々しいとも思えるため息をこぼした。
「病み上がり早々悪いんだけど、午前中、打ち合わせが入ってるから、よろしく」
「あ、なんの打ち合わせですか?」
「展示場の打ち合わせ。他社さんも来るから、しっかりね」
「え?」
私の席の隣に立って肩を竦める佐山先輩は、申し訳なさそうに笑う。
展示場の打ち合わせって一体なんの事だろう……。
最近、というよりも、配属されて以来、展示場に関わる仕事をした覚えなんてないんだけど。
佐山先輩の言葉が理解できなくて、じっと見つめ返していると、佐山先輩はふふっと肩を震わせて呟いた。