極上の他人


「この程度でびくついてちゃだめ。まだまだ学ばなきゃならないことばかりで大変だけど、自分の未来をやりがいのあるものにしていくためには、自分が頑張らなきゃね。
先輩であれ誰であれ、ふみちゃんの仕事をサポートはできてもふみちゃん自身を成長させることはできない。
ふみちゃんが自分で自分を成長させなきゃ。……ふふっ。私も入社して間もない頃に先輩に言われて泣きそうになったんだけど」

佐山先輩が肩をすくめながら懐かしげに目を細めているのを見ていると、何故か輝さんに言われた言葉を思い出した。

『自分で自分を幸せにすればいい』

私が背負っている悲しい境遇を悲しいだけで終わらせるのではなくて、自分でちゃんと幸せを掴んでいくようにと、抱きしめてくれた。

その言葉と、そう呟いた時の輝さんの瞳の優しさを思い出して、何故か体が温かくなった。

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