極上の他人


笑うと幼さも残る可愛い顔を見れば、そのコンパに参加した女の子たちは気持ちを揺らされたんだろうと簡単に想像できる。

確か、そのメンバーのコンパには私も誘われたと思う。

もちろん主催は亜実さんで、『すごくお勧めの男の子がいるのよー』と目を輝かせながら私に声をかけていたような。

そうか、お勧めの男の子って千早くんのことだったんだな。

そのコンパの日、私は建築途中の物件の確認に行く予定で、確実に帰りも遅くなるとわかっていたから、コンパは断った。

亜実さんは、断る私に残念そうな顔を一瞬見せるも、「今回は諦めるけど、ふみちゃんにぴったりの男性を探しておくから気を落とさないでね」と呟いて退散した。

私は別に気を落としてなんてなかったけれど、亜実さんは自分が言った言葉を裏切る事なく、こうして今日のお見合いをセッティングしてくれた。

という事は、あの時亜実さんが私の為に探してくれると言っていた、私にぴったりの男性というのは。

「何か嫌いなものってある?」

「あ、輝さん……」

いつの間にか私の目の前に立って甘い笑顔を向けるこの男性の事?


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