極上の他人
私のお見合い相手にたまたま輝さんに声をかけたというわけではなくて、初めから輝さんが私のお見合い相手として選ばれていたってこと?
「輝さん……」
いきなり声をかけられて驚いた私の呟きに、輝さんは苦笑した。
「こうして目の前のかわいい女の子から嫌いなものが俺って言われると、さすがに傷つくんだけど」
「あ、あ、違います。まさか私も本人を目の前にしてそんなことは言いません」
眉を寄せている輝さんに慌てて首を横に振ると。
「目の前じゃなかったら言うんだ?かわいい顔して意地悪だね」
輝さんは悲しげな顔で、カウンターに両手を置いて、そのまま顔を私にぐっと寄せた。
気付けば目の前には輝さんの顔があって、今にも触れそうな至近距離。
あまりにも整っているその顔に見惚れてしまう。
だめだ、とわかっていても視線をそらすことができず、次第に優しく変わっていく輝さんの瞳に、じっと見入っていた。