極上の他人
ただでさえ人目をひく容姿を持っている輝さんが私の腕を掴んでいる様子は妙だろう。
思わず俯きそうになる私に反して、艶ちゃんも輝さんも動じる様子はない。
艶ちゃんに至っては、輝さんをまじまじと見ながらどこか面白がっているようにも見える。
私が戸惑っていることなんてお構いなしだ。
そして、輝さんは私を心配そうに見つめていたかと思えば、その理由がよくわからないままひとり戸惑う私に小さく笑った。
「何もなければそれでいいんだ。知らない奴に声をかけられたら逃げるんだぞ?」
「え?私、小学生じゃないですよ。ちゃんとわかってます」
すると、隣で私たちの様子を見ていた艶ちゃんが割って入ってきた。
「あの、なーんにもなかったですよ。確かにふみちゃんはかわいくて男性から声がかかることもありますけど、今日に限って言えば、それもなく、平穏無事にここまで来てます。
えっと、輝さん?ですよね。
ふみちゃんを一人にすること……自分が見守っていなきゃそんなに心配なんですね。
いい年して、かわいい」
「え、えんちゃん。かわいいなんて、そんなこと」
からかうような表情で輝さんを見る艶ちゃんを慌てて止めるけれど、彼女は更に笑みを深めた。