極上の他人
「それほどふみちゃんのことが大切なんですね。いつも手元に置いておかなければならないほど心配で不安で。いつ誰にかっさらわれるのかわからなくて焦ってここまで追いかけてきたんですか?」
「艶ちゃん、いい加減にしてよ、輝さんがそんなこと思ってるわけ……」
艶ちゃんの言葉に焦った私は、思わず艶ちゃんの腕を引くけれど、そんな私を無視するかのように輝さんの声が響いた。
「大正解。いつも俺が見守ってなきゃ、いつ誰が史郁を傷つけたりかっさらうか気になって仕方がないんだ」
「あ、やっぱり。見るからにバレバレですよ」
輝さんと艶ちゃんは二人だけで視線を合わせて笑い、小さく頷いた。
傍らの私の戸惑いを面白がっているような、それでいて本気でそう思っているかのような空気。
けれど、輝さんの口ぶりからは何かを気にしているような不安定さも感じられて、単純に私を子ども扱いして心配しているだけでもなさそうに思える。
この不安定さは初めてじゃない。
以前も感じたような気がするけれど、いつだったかな……。
ふと考え込んでいると、私の腕を掴む輝さんの手に力が加わり、ぐっとその胸に引き寄せられた。