極上の他人


千早くんがふざけているとはわかっていても、思わず強い口調でそう答えてしまった。

それにしても、私を一人にしないなんて、どうも大げさすぎる。

ここ数日の輝さんの態度を考えると、その言葉を裏付けるものが顕著に表れていて気になるけれど、何がそうなのかもうまく言えなくて聞けないままだ。

確かに毎日仕事で忙しくしているけれど、それでもちゃんと生活できるし食事だってちゃんととれるし。

誠吾兄ちゃんに負けず劣らずの過保護ぶりを恥ずかしげもなく見せている輝さんのことがよくわからない。

一人にしちゃいけないなんて、意味がわからない。

……とはいっても、色々悩みながらも空腹には勝てなくて、目の前に並ぶロールキャベツに舌鼓をうちながら、手元のナイフとフォークを手にすると。

「箸でも食べられるくらいに柔らかいぞ」

いつの間にか私の隣にいた輝さんがお箸を私に差し出した。

「あ、じゃあ、お箸でいただきます」

「ああ。ゆっくり食べろ。食べたら送っていくから、勝手に帰るなよ。千早、ちゃんと見張っておけ」

輝さんはそう言って、私の背中をするりと撫でて背を向けた。

輝さんが私を迎えに来る為にお店を空けていた時間はちょうどお店が混み合う時間帯。

その大切な時間を私のために費やしてくれる輝さんに申し訳なく思いながら、ロールキャベツを口にすると。

「うわっ。おいしい」



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