極上の他人


艶ちゃんが隣でおいしそうにお酒を飲んでいる。

そして、私は輝さん手作りの梅酒を楽しんでいる。

売り物ではないというそれは、予想以上に甘くて、疲れた体にはとても優しい味だった。

酔いそうで酔えないのはきっと、輝さんが気になって気になって仕方がないからだ。

輝さんに甘えてもいいかな、と気持ちを決めた途端、すっと心は落ち着いて、覚悟もできたような気もする。

「この梅酒、おいしい。おかわりください」

「ん?飲みすぎるなよ?甘いからって調子にのると、立てなくなるからな」

「大丈夫です。あと一杯で終わりにしますから。それに、輝さん、家まで送ってくれるんですよね?」

「……あ?ああ。ちゃんと送るけど……」

驚いた顔を隠すことのない輝さん反応は当然のものなのかもしれない。

これまで輝さんの好意に素直に甘えられなくて、遠慮ばかりしていたけれど、そんな気持ちよりも、輝さんの近くにいたい気持ちの方が大きくなってしまった。

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