極上の他人


『去年契約したお客様からの紹介で、一棟受注しました』

上司に嬉しそうに報告している営業マンを遠目に見ていると、私も負けてられないなと熱くなる。

まだまだ私は新人で、もちろん、戦力となるには程遠いけれど、これからも頑張れる気がする。




その日、私は営業部での打ち合わせを済ませたあと、お客様の家に寄ることになっている先輩と別れて、一人で本社へ戻ることになった。

時計を見れば15時半。

オフィス街を抜けて駅に向かって歩いていると、下校途中の多くの学生たちとすれ違う。

高校生かな。

友達同士でふざけ合ったり、笑い合ったりしながら歩いている様子を見ていると、自分の高校時代を思い出した。

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