極上の他人
愛する人と結婚して幸せな毎日を過ごしていることも加えれば、女性なら誰もが羨んでしまうほどの女性だ。
こんな女性になれたらなあ、とぼんやりと見つめていると、亜実さんはにやりと笑い、何かを企んでいるように呟いた。
「明日の金曜日、コンパだからふみちゃんも参加よ」
「こ、コンパ、ですか?え、でも……」
「大丈夫よ。浜野には明日はふみちゃんに残業も出張もだめだって脅しておいたから、この間みたいに現場に駆り出されてコンパに来られないなんて残念なことにはならないし」
「え、でも……」
浜野、というのは私の上司、浜野課長のこと。
亜実さんとは同期で、普段から仕事でもそれ以外でも、二人は何かと関係が深い。
浜野課長は入社して間がない頃、亜実さん主催のコンパで奥様と出会い、そして結婚へと進んだせいか、今でも亜実さんには頭が上がらないらしい。
その浜野課長をちらりと見ると、苦笑しながら小さく頷いていた。
『ま、楽しんで来い』
口元はそう言っているように動いていて、思わず私はため息を吐いた。
「あの、亜実さん?輝さんとのお見合いに私を送りこんでからそんなに時間も経ってないんですよ、コンパなんて結構です」
「あら、輝くんと付き合ってるの?」
「い、いえ、そういうわけじゃないんですけど……」
「だったら別に輝くんに義理立てする必要もないし、コンパくらい気楽に参加すればいいじゃない。
そんな気楽な出会いから一生の付き合いに発展することだってあるんだから」
「で、でも」