極上の他人


すると、亜実さんは耳からスマホを離すとにっこりと笑い、呟いた。

「ふみちゃんが遠慮したとしても、無駄みたい」

「え?」

「だって、輝くん、虹女の前を通ったって言ってたから、あと5分もすれば到着するわね」

亜実さんは大きく笑うと、輝さんとの会話をあっという間に終えた。

私の意志は関係なく、私が輝さんと一緒に帰ることは決定したようだ。

それにしても、輝さんは意地になって私の送迎を続けてくれているように思えて仕方がない。

朝も夕方も、私が一人にならないよう、絶えず輝さんが気を遣っているようだ。

だからと言って、私を必要以上に構うわけでもなく穏やかに送迎してくれるだけなんだけど。

何か理由があるんだろうかと、どれだけ考えても答えは出なくて困る。

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