極上の他人
「今日、虹女の近くで真奈香ちゃんを車に乗せているのを見ていただろ?」
「あ……どうしてそれを」
「どんなに遠くにいても、視界の片隅にでも見えたなら、すぐにそれは史郁だとわかるってさっきも言っただろう?真奈香ちゃんを乗せたあと、バックミラーの端に史郁の姿が映っていたんだ。……呆然と立っている史郁が、な」
私の反応を窺うように顔を寄せると、輝さんは私の額に額を合わせた。
あっという間の密な距離感に、私はただそれを受け入れるだけ。
それに、輝さんがあの時、私が見ていたことに気付いていたことにも驚いた。
あの時の私は、輝さんが車の助手席に真奈香ちゃんを乗せたことにショックを受けて相当落ち込んだ顔をしていたに違いない。
とてもじゃないけれど、好きな人に見せられるような顔ではなかったはずだ。
「う……嘘、じゃないんですよね……」
「ああ。俺が史郁を見間違えるわけがない。何年もずっと見守ってきたんだからな」
「やだ、きっとおかしな顔してたのに、見られてたなんて恥ずかしすぎる……え?……な、何年も?」
輝さんに見られた自分の顔を想像し、恥ずかしくて俯いていた私は、今輝さんが呟いた言葉が気になって視線を上げた。