極上の他人
上から覆いかぶさるように私を抱きしめる輝さんの力はかなり強くて、背中からぐっと押し潰されるような圧迫感に、私は息を止めた。
「誠吾先輩と一緒に史郁を見守るだけのつもりが、亜実さんからの見合い話のおかげでそれだけじゃ我慢できなくなった」
「ひ、ひかるさん……」
「何も知らない亜実さんが、俺の好みに違いないって史郁の写真を見せた時には驚いて声も出なかった。誠吾先輩の姪っ子のかわいい女の子が、ほんの数か月見ない間にあまりにも綺麗なオンナに成長してる。もう、史郁を手に入れたくて仕方がなかったんだ。俺が見合いを断ったら他の男と見合いさせるなんて言われてむかついて。で、史郁を俺の手の中に収めると決めて強引に進めてきたんだ……やっぱり俺って危ない男だな」
「ひ、ひかるさん……くるし……い」
あまりにも強く抱きしめられて、私は息苦しくてたまらない。
どうにか声を出して、輝さんの背中を弱々しい力で叩いた。