極上の他人
私を守ると何度も口にしては、その言葉に根拠があるように何かに頷き私を見つめる。
これまで何度も聞かされた、『守る』って一体どういうことなんだろう。
誠吾兄ちゃんも、私を守っていたと言っていた。
その言葉もよくわからないけど、それは可哀そうな姪っ子を見守っていたっていう意味なんだろうか。
「輝さん……私を守るって、どういう意味ですか」
ぽつりと思わず口にした言葉に、輝さんは眉を寄せ、苦しそうに口元を結んだ。
どう答えようか迷っているのが簡単にわかる表情を見せられて、輝さんが聞かれたくないことを、私は無神経に踏み込んで聞いてしまったんだろうかと不安になった。
すると、そんな私の心細い感情に気付いたのか、輝さんは笑顔を見せ、優しく答えてくれた。
「史郁を守るって、言葉通りの意味だ。……その意味を教えたくて、今日ここに連れて来たんだ」
「え?ここって、何か私に関係があるんですか?」
「ああ。この家。史郁が気にしている女子高生、真奈香ちゃんの家なんだ」
「は?」
私の体は輝さんにくるりと反対側に向けられ、目の前には大きな家。
背中から回された輝さんの両手が私の胸の下あたりで結ばれ、輝さんの顔が、私の首筋に埋められた。
背後から抱きしめられ、背中に感じる輝さんの体温に眩暈を覚える。