極上の他人


「千早くんも来るんですか?」

「そうなの。明日は輝くんのお母さんのお誕生日でお店を休みにするらしいのよね。だから千早くんも来てくれるの。ちょうど良かったわ。千早くん目当ての女の子もいるから、盛り上がるわよー」

「あ、そうなんですか」

「だから、ふみちゃんも絶対来てね」

「……えっと……」

普段同様、勢いが溢れ明るさ全開の亜実さんは、私の肩をぽん、と叩いたあと、明日のお店と時間を書いたメモを机に残して背を向けた。

去り際に、浜野課長に『じゃ、くれぐれも明日はよろしくね』と言いながら厳しい視線を投げるのを忘れずに。

そんな亜実さんの後ろ姿を見つめながら、私はメモを手に取り、そっと視線を落とした。

明日のコンパのお店の地図も添えられていて、いつも気が付く人だなあと感心する。

「明日、輝さんのお店、お休みなんだ」

そんな言葉を、思わずぽつりと呟いた。

ここ数日お店に顔を出しているのに、そんなこと聞いていないし、輝さんがお休みの日に何をしているのかも知らない自分を改めて実感する。

そのことに気づいて、ずん、と落ち込んだ。

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