極上の他人
私の中には重い塊がいつもある。
その塊が消えて無くなることはないけれど、輝さんから愛情を与えられた私は、その塊を抱えたままでも笑っていられるような気がした。
これまで背負ってきた寂しさがほんの少し小さくなった私は、背後から抱きしめてくれる輝さんに体を預けた。
どれだけ寄りかかろうとも、私の全てを支えてくれると思える輝さんに、心も体も全て、託すように。
「輝さんが、大好き」
何度でも言っていいと言われて、するりと自然にこぼれた言葉。
なんの不安もなく自分からもそう言えることに感謝しながら。
すると、輝さんは私の耳元にくすりと笑い声を落とした。
「もう、誠吾先輩の『オレのオンナ』じゃないな。史郁は俺一人のオンナって言うと、誠吾先輩は泣くんだろうな……まあ、一発殴られるくらい、覚悟して……」
「輝先生?」
その時。
輝さんが私に囁く甘い言葉にかぶさるように、か細い声が響いた。