極上の他人
輝さんが塾をやめた理由である、女子高生と親しく付き合った、ということに関係があるのだろうか。
それに、誠吾兄ちゃんの名前が出てきたけれど、真奈香ちゃんは、誠吾兄ちゃんに会いたかったのだろうか。
戸惑う私の様子に気づいた真奈香ちゃんが何かを言おうと口を開いた時、真奈香ちゃんの家の隣家の二階の窓が開いた。
私たちの大きな声が気になったのか、暗闇の中だとはいえ、二階から怪訝そうな視線を向けているのがわかる。
「あ……ご近所迷惑だから……うちに、入りませんか?」
真奈香ちゃんが、遠慮がちにそう言い、彼女のお父さんは、隣家の住人に何度か頭を下げながら、私と輝さんにも視線を向けた。
そして、真奈香ちゃんのお父さんも、うるさくしていることに気付いたようで「ぜひ、お願いします」と私たちに声をかけてくれた。