極上の他人
確かに住宅街の真ん中で、それも夜に声高に話すなんて非常識だ。
真奈香ちゃんたちの言うとおり、家の中に入って話したほうがいいんだろうけれど、私はどうしてもそれが嫌でたまらない。
真奈香ちゃんの背後にいるお母さんも、それを望んでいるとは思えない厳しい表情だ。
私と一緒にいることが苦痛でたまらないとしか思えない。
実の娘よりも、愛する人の娘。
たとえ血が繋がっていなくても、愛する人の娘は大切だと露わに見せ続けるお母さん。
彼女という存在の呪縛から、解放されたい。
期待することも、いつかは私を……というかすかな望みにすがることもやめたい。
「輝さん……帰りたい」
私にはもう、これ以上の苦しみを背負い続ける余裕も気力もなくて。
「何も考えたくない」
目の前にいる三人に聞かせるように、そう呟いた。