極上の他人



「とりあえず風呂の用意をしてくるから、座って待ってろ」

「……えっと、あ、はい。あの」

「大丈夫だ、弱っている史郁を襲うつもりはないから。あ、史郁が襲って欲しいってリクエストをするなら別だぞ。今すぐにでも」

「ひ、輝さん!」

「はは。好きな女と一緒にいて抱きたくないわけはないけど、やみくもに自分の欲求を押し付けるほど、もうガキじゃないから安心しろ」

「ガ、ガキでもそんなことしません」

「へえ、史郁が今まで付き合ってきた男たちは理性の塊だったんだな。俺が若い頃なんて惚れた女が側にいたら考えることなんて……」

「輝さん、その先はいいです、言わないで下さい。輝さんが若い頃モテていたっていうのは簡単に想像できますから説明はいりません。ただでさえお店であんなに女の子に熱い目で見られていて……今の輝さんでさえ手に負えないのに、昔の輝さんのことにまでイライラしたくないです」

輝さんの軽い口調につられるように、私も思わず強い声でそう言い返してしまった。

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