極上の他人
「輝さんの側に女性がいるのを見て、それを仕方ないって平気で思えるほど私は大人じゃないんです。……私が拗ねるような話はしないでください」
仕事の延長だとわかってはいても、女性客を誤解させるような笑顔を向ける輝さんを見るのは悲しい。
混み合う店内で私専用の席や、健康を考えた夕食を用意してくれる特別を味わっていても、好きな人に対して抱く気持ちとしては当然のものだろうと思う。
仕方ないと思っていても、嫌な気持ちになる。
「私にそんな権利はないけど、『マカロン』にいる時の輝さんを見ていると、いい気分じゃないんです」
つらつらと思いを口にしながら、私は一体何を言ってるんだろうかと。
心のどこかで感じつつ、どうにも止められない。
輝さんにそんなことを言えば困らせるとわかっているのに、口を突いて出てしまう。
今日一日、気持ちの浮き沈みが激しかったせいか、今でも私の感情は大波にさらわれて上下しているようだ。
理性的な部分と感情的な部分が交互に押し寄せては私を翻弄している。
お母さんに会って、本当の意味で決別したことが大きな理由だけど。
その状況に一人で耐えきれる自信がなくて輝さんと一緒にここに帰って来た私。
その慌ただしい余韻の中、気持ちはまだ高ぶったままだ。