極上の他人


まるで雲の上を歩いているような……歩いたことはないけれど、非現実的な浮遊感を味わって体が大きく揺れた。

相変わらず私の口内を好きに動き回る輝さんの舌の動きを感じ、ぎこちないながらもそれに応えつつも意識は遠のきそうになる。

ふと揺れた体を輝さんに抱き寄せられ、そして。

「好きなんです」

口づけの合間にそれだけを呟き、両腕を輝さんの首に勢いよく回した。

「輝さんと、一緒にいたい」

私からも輝さんに体を寄せ、精一杯の思いを込めて輝さんとキスを交わす。

静かな部屋にくちゅりという音とふたりの荒い吐息が響いているのを感じながらも、なんの恥ずかしさも覚えないまま私は更に抱きついた。

背伸びをしなければちゃんとキスができないと、そんな小さなことに気付いただけでも嬉しくて。

私が積極的に体を預けることが輝さんの嬉しそうな表情を誘うということにも気づいて。

「離れたくない……それに、お、お店に出るの、や、やめて欲しいくらいです」

もう隠しておけない、ガードを外した本当の思いをそっと口にした。

そうせずにはいられなかった。

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