極上の他人
極上の他人



輝さんのあとでお風呂に入った私は、輝さんが用意してくれた長袖のTシャツと、ひざ丈のジャージを着て大きく息を吐いた。

リビングをそっと覗くと、輝さんがスマートフォンを耳に当て誰かと話をしていた。

その邪魔をしないようにゆっくり近づき、輝さんが座るソファの足元に腰をおろした。

着なれない服にどぎまぎしながら、ちらりと視線を上げて輝さんを見ると、輝さんの手が私の頭をぽんと撫でた。

そして、ソファから腰を下ろして私の隣に並ぶと、私の腰に片手を回して引き寄せた。

「うわっ……」

バランスを崩した私の体は輝さんの胸元に倒れた。

慌てて起き上がると、スマートフォンを耳に当てたままの輝さんが顔を寄せ、あっという間にキスを落としてきた。

「んっ!」

突然何を、と口にしそうになったけれど、会話が続いていると気づき口を閉じた。

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