極上の他人


「何がだ?」

輝さんは、そんな私の手首を握り、私の手の平に頬ずりをする。

すりすりと感じる輝さんの肌。

無性にうれしくなる。

そして、照れくさくなる。

私はそんな照れくささを隠すように笑いながら答えた。

「『極上の他人』って、輝さんのことだよね?」

「他に誰がいるんだ?」

「ふふっ。いないよ。少なくとも今は」

「今もこれからも、史郁にとって極上のオトコも、極上の恋人も、全て俺だ。
他の誰かが割って入ろうとするなら、本気で潰す」

「潰すって、こわい」

「冗談じゃないぞ。さっき俺が真奈香ちゃんに向けて言った言葉を思い出せ。
俺は相手が誰であれ、史郁を傷つける奴は本気で潰すし史郁に手を出す男がいたらその時点で史郁をこの部屋に閉じ込めるから」

冗談とは思えない硬い声が部屋に響き、その言葉が本気だとわかる。

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