極上の他人
「ああ。10歳近くも年下の女の子にしてみれば俺なんて恋愛対象外だろうし、相手にされなくても不思議じゃない。そんな気弱な気持ちを隠すために強引に進めてきたんだ。
……まあ、真奈香ちゃんのお母さんが史郁に接触しようとしているって誠吾先輩から連絡を受けたあと、彼女が店に来たこともあって。
史郁を守るためっていう理由で、送り迎えをして夕食を用意していたけど。
それって史郁を俺の側に置くための都合のいい理由だ」
ははっと笑い声をあげる輝さんの目には、口調とは逆に不安げな気持ちが色濃く浮かんでいた。
私の体に回された手は、私が逃げ出さないようにぐっと力が入っている。
そして、微かに揺れる瞳の奥に、私の気持ちを探るような光。
これまで見せられたことのない光だ。
余裕で溢れている普段の輝さんとは違う一面を見せられた気がして驚く反面、私は安心感も覚える。