極上の他人


誠吾兄ちゃんとも話をしていたに違いない。

だから敢えて隠すように……。

あーあ。

どこまで誠吾兄ちゃんと輝さんは通じ合っているんだろう、そして、どこまで私を気弱な女の子だと思っているんだろう。

私はくすりと笑い、再びゆっくりと、輝さんの胸に体を預けた。

その途端、私の体が強く引き寄せられる。

「輝さん」

「ん?」

「もう、送り迎えも、夕食の用意もしなくても大丈夫だから」

「は?どういうことだ?」

私の言葉に、輝さんは慌てている。

「ふふっ。だって、お母さんが私の周りに現れるかもしれないからそうしてくれていたんでしょ?」

「まあ、それがきっかけってのはあるけど、それだけじゃないぞ?」

「でも、私はもう大丈夫だから、ひとりで通勤するし、夕食もなんとかする」

「史郁……」

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