極上の他人


「ふふっ。照れちゃうけど、本当のことだもーん」

「だもーん、って……」

呆れた声で私にぶつぶつ言っている輝さんの声を聞いていると、それまで抱えていた緊張感がかなり消えていることに気付いた。

胃の痛みもなくなって、気持ちはもちろん弾んでいる。

輝さんに大切にされていると実感すればするほど、私は強くなるようだ。

次の信号を過ぎると会社に着く。

いよいよ私の仕事の一つ目の通過地点。

どんな結果が出るか不安だけれど、お客様のために、そして、自分のためにもしっかりと受け止めよう。

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