極上の他人
年を重ねるにつれて、他人に見せたくない自分を隠すことに長けていくのだと思っていた。
嫉妬や羨望という、どろどろとした感情の代表ともいえるものをはじめとして、後ろ暗い思いを少しずつ昇華しながら大人の女に変化していくものだと。
根拠なく信じていたけれど。
私に限って言えば、どれだけ年を重ねても他人の才能に嫉妬し、着々と実績をあげる同僚たちに羨望のまなざしを向けながら、もがいている。
自分にできないことばかりに気付いてしまい、これまで私が残してきた小さな実績すら信じられなくなる。
それに、『強さ』という身体の真ん中に通っていた幹が少しずつ細くなっていくような気がして仕方がない。